ネット全盛時代だからこそ、まちや店にできること
地方都市の中心街がシャッター街という、虚無的な場となって久しい。時代の変化は如何ともし難く、かつての中心街はすっかり寂れてしまった。
そして地方都市の消費構造は、ショッピングモールや幹線道路沿いのチェーン店が中心となり現在に至っています。しかし、そこはけっして中心街ではない。
ショッピングモールはコンクリ箱物の商業施設であり、幹線道路沿いはあくまで道路でしかない。したがって、中心街になりようがないのは言うまでもない。
ネット通販が当たり前の昨今では、もはや商店街=リアル店舗は必要ないという意見さえあります。しかしながら、人は何かを求めて賑わいの場に集います。現在の地方では、それがショッピングモールなどになっています。
冒頭画像:高岡お化け屋敷 見津子の血涙/高岡市 御旅屋通り商店街
画像引用:https://www.officeburn.jp/horror/3388/
重要な施設や商店などが集まって賑わい、その町の中心となっている地域。
人は何を求めて集うのか、モノからコトへ
かつて中心街の商店の多くは、生活必需品(コモディティ)を提供することで街の中心的な役割を担っていました。しかし、その役割は大手量販店=スーパーマーケット、GMSに集約化されていき、中心街の商店は淘汰されていきます。
高度経済成長が終焉した1970年代初頭から、それは加速して、商店街が生活必需品という”モノ”を提供する価値は失われました。そして、商店街にはスーパーやGMSに対抗する新しい戦略と手段が必要となりました。
商店街に求められた戦略には、品揃えの深化や、あるいは安価など、さらには商店街が共通意識に基づき大手量販店に対抗するという方法があったと思われます。
しかし、商店街は相変わらず旧態以前のまま変わることができずに、中途半端な姿勢のまま時代に取り残されていきました。当時の大手量販店には、大量消費に適した品揃えと全国均一という欠点がありました。
その隙を突けなかった商店街は、問題意識や価値観を共有できていなかった。(脇に道ありという認識がなかった)
ちなみに現在、まちの商店街を駆逐したスーパーやGMSは売り上げ不振の代表的業態となっている。時代は変わるのだ、あのダイエーもすでにない。
総合小売業。食料品はもちろん、衣料品、日用雑貨。家庭用品、家具、家電製品といった総合的な品揃えが特徴。
ドンキホーテは小売業にあらず、アミューズメント
昨今、”モノからコト”へという意識・価値観の変化がいわれています。実はこのテーマは、80年代にすでに登場していたものです。
”モノからコト”へ、という顧客の意識・価値観の変化を基本に業態を作り上げて成功した企業に『激安の殿堂/ドンキホーテ』があります。
当方は、ドンキホーテを流通小売業と認識していましたが、創業者はインタビュー記事で自社の業態について『アミューズメント』という言葉を使っていました。
ドンキホーテは、いい悪いは別にして、激安をひとつの手段として、意図的に顧客に楽しんでもらうことを目的としている。
いわば、『娯楽型小売業態』という新業態を開発したといえる。そして現在、小売不況ともいえる状況のなかで、唯一増収増益を続けている。
ネット全盛の時代にあって、リアル店舗の、しかも小売業で好業績を上げているのは稀である。そして、それが何を物語るか否かである。
ちなみに、ドンキでは自社のネット通販は撤退し、リアル店舗に集中するそうである。それは、やはりドンキの娯楽型小売業態=アミューズメントがネットでは伝わりにくいことを意味しているに違いない。
廃れた商店街には、お化け屋敷がよく似合う
横川お化け屋敷「赫い糸の家」/広島 横川商店街
画像引用:https://www.officeburn.jp/horror/3391/
唐突ですが、寂れた商店街にはお化け屋敷が似合うと思うのですがいかに。
『お化け屋敷』についてですが、いまから数年前に別のサイトに(以下にリンク)記事を掲載しました。当時は、まだ地域の活性化などあまり関心がなく半分は冗談で掲載したものです。
関連記事:地域活性化の提言 空き家・ビルの活用策「お化け屋敷」で集客、活性化を図る
『お化け屋敷』が、テーマパークや遊園地にあればごく普通の光景ですが、活気のない寂しいまちなかに忽然と現れれるとどうなるか、興味深いものがあります。
かつて賑わった商店街が廃れて、人が集まらなくなった訳はなぜかといえば、上記したように、大手量販店とおなじ土俵で商売したからに他ならない。しかも、商店街にはまとまりが欠けていたからだ。違うだろうか。
「大店法の緩和」や「モータリゼーションの進展」などを、商店街衰退の理由にするのは、たんに問題を逸らしているだけである。
モノを売るだけなら、大手流通の資本力には敵わない。したがって、競争するポジションを変えれば、商店街にも利があったはずと思われて仕方がない。
そして、それが何かといえば、ひとつには娯楽性である。ようするに遊び心を有した要素が皆無だったからではないか。品揃えはもとより、そこに訪れる価値として商店街の景観やサービスなどにもっと気を配るべきだった。
とくに、地方の商店街は街並みに関しては無頓着だった、と思えてならない。街並みは、人を集める要素として価値があることに気がついていなかった。
すでに遅きに失した感が拭えませんが、それでもなお、なんとかまちの中心街に賑わいを取り戻せないか、そのように思うばかりです。
意外な組み合わせこそ訴求力がある
とにかく『お化け屋敷』が寂れた商店街のなかに忽然と現れたら、とても興味深くないですか。目的は金儲けではなく、人を集めることにあります。
このアイデアは、たんなる思いつきではありますが、調べたところすでにいくつかの地方都市の中心街で実際に行われているようです。
お化け屋敷は、映像や音響、からくり、役者などを駆使し、利用者に対し幽霊や怪物に対する恐怖を疑似体験させ、楽しませる事を目的とする施設である。
なぜ『お化け屋敷』かといえば、それは老若男女だれもが知っている娯楽施設であり、昨今では古くて新しい概念によるお化け屋敷が数多く登場しているからだ。
むかーしは、見世物小屋のひとつして神社仏閣の祭などで定番の施設だった。お化け屋敷の外観は、とても妖しく、そしておどろおどろしく、人の恐怖心とそして興味心を掻き立ててやみません。
とくに看板などは、とにかく目立つこと半端ない。否が応もなく、人の注目を集めて興味を掻き立てます。ある意味では悪目立ちするといえますが。
しかしながら、寂れた中心街の虚無感に刺激を与えるには丁度いいかもしれません。そのように思いますがいかに。
そして、話題性をもたらすことは間違いないでしょう。寂れた商店街には、それこそ必要な要素であるのは言うまでもありません。
お化け屋敷の形態
ウォークスルー型
名称の通り決められた通路を歩いて進む、最も一般的なもの。人形や音響効果などを使った仕掛けの他、最近ではよりリアリティを追求する為に独自のストーリーを持たせたり、人がお化け役として客を驚かしたりするものが多い。
ライド型
特定の小型の乗り物に乗り、ガイドレールに沿って一定の速度で進んでいくもの。お化け役の人が出るというものは極めて少なく、客の側まで来て驚かすという事があまり無い為、お化け屋敷としてはあまり怖くない部類に入る。
3Dサウンド型
ヘッドフォンを装着し、そこから流れてくる音声を聴くというもの。一部では部屋に仕掛けが施されているものもある。比較的狭い密室の中に案内され、終わるまで出る事ができないという恐怖感がある。
シアター型
比較的大人数収容できる広い部屋で、映像を観たり音声を聴いたりするというもの。富士急ハイランドの「稲川淳二の棺桶劇場」、東京ジョイポリスの「ダークチャペル」などがこのタイプ。
街中のお化け屋敷に人気
高岡お化け屋敷 見津子の血涙/高岡市 御旅屋通り商店街
画像引用:https://www.officeburn.jp/horror/3388/
廃ビル利用して商店街もちょっと怖い客寄せ
街中のお化け屋敷は実はけっこうある。たとえば、徳島、広島、岐阜、石川、新潟、栃木など十数か所もある。富山・高岡市の「呪いの廃ビル 見津子の血涙」は14年間テナントが入っていなかった廃ビルを利用して今年7月(2014年)中旬からお化け屋敷としてオープンした。結構な人気となって、オープンからまだ半月ほどだが、すでに3000人もの入場者あった。「めっちゃ怖かった」という客が、お化け屋敷を楽しんだ後に商店街で買い物や飲食店に足を伸ばす。商店街は新規の客を見込んでお化けグッズやスタンプラリーを行い、アーケード街は息を吹き返している。
日本で唯一無二のお化け屋敷プロデューサーのスゴい人
2011年、広島の街中でお化け屋敷を作ったのが、初の街中お化け屋敷でした。
それまで街中のお化け屋敷なんて成立しないと思っていましたが、大成功。
成功した要因の1つは、地方の遊園地がどんどん無くなって来ているという背景が大きく影響していると思います。
追記:
失礼ながら、寂れた商店街と繰り返し書いていますが、関係者の皆様には何卒当方の意図を察していただきたい、と思います。事実を客観的に捉えて、忖度しないことを当サイトでは命題としています。あしからず。
最近知ったのですが、南房総市館山に『臨怪荘』というお化け屋敷があるそうです。企画・監修は、有名お化け屋敷プロデューサー五味弘文によるものです。
プロデューサー 五味弘文
手掛けるのは日本ホラー、特にお化け屋敷の第一人者「五味弘文」プロデューサー。
1992年、後楽園ゆうえんち(現東京ドームシティアトラクションズ)において、初のお化け屋敷『麿赤児のパノラマ怪奇館』を手がけ、手錠に繋がれて歩く『LOVE CHAIN〜恐怖の鎖地獄』、幽霊の髪の毛を梳かして来なくてはならない『恐怖の黒髪屋敷』など、それまでのお化け屋敷にはなかった“ストーリー”の概念を持ち込み、「キャスト」「ストーリー」「役割」という三つの大きな特徴を確立して様々なお化け屋敷を作り続けている。
ちなみに当方は、90年代の伝説となった夜の遊園地「ルナパーク(後楽園ゆうえんち)」にて、五味氏のお化け屋敷を何度か体験しています。
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