コラム|歩行者中心のまちなかへ 国交省、予算・税制で重点支援へ

コラム
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中心街の特定区域ではクルマをシャットアウトせよ

 その地域が都会か、またはど田舎かを判別するには、まちなかを人が歩いているかどうかで簡単に判別することができる。

 いくら首都圏といっても、東京を一歩離れると、もうそこは田舎である。なぜなら、まちなかを人が歩いていないからだ。とにかく地方では、いまさらであるが、クルマ依存の生活を余儀なくされている。

 地方の繁華街は絶滅危惧種となり、もはや絶望の域にある。動物なら、保護もできるが、地方のまちなかはそうもいかない。専門家のあいだでは、地方が抱える現状の問題を打開できれば、「ノーベル賞ものだ」と密かにいわれている。

 いやはや、とんでもないことだが、現実である。地方をクルマづけにしたのは、どこのどいつだ。いうまでもなく、国の政策にちがいない。

 日本の自動車会社は、地方に依存している。都会ではクルマは売れないからだ。

 しかし時代は変わり、加速したモータリゼーションの弊害も顕著となってきた。数千台の駐車場を完備するショッピングモールも少子高齢化、景気減速の波を受けて、いつ撤退してもおかしくはない。それが現実である。

 そのような背景のせいか知る由もないが、国交省では「市町村が歩行者中心の街中を整備するための新区域を設定できるようにする方針」を固めたそうだ。

 具体的には、市町村が新たに設定できる「まちなかウォーカブル区域」というそうだ。詳細は以下を参照ください、

ウォーカブル(walkable:歩くことができる)

「まちなかウォーカブル推進プログラム(仮称)」国交省

ー国による「10の施策」ー
 これまでのまちづくりの努力の結果、数多く生み出され、まちの貴重な資源となっている街路、公園、広場、民間空地等、沿道建物などアイレベル・グランドレベル(歩行者の目線に入る1階・2階、地階等)の官民のパブリック空間について、それぞれの空間が果たしてきた機能を活かしつつ、互いに連携し、面的に多様な活用の取組を進めることで「ウォーカブルな人中心の空間」への転換を進めなければならない。

 そして、官民のパブリック空間の魅力を先導役として、周辺地域においても民間の投資が共鳴し、増幅することにより、 「居心地が良く歩きたくなるまちなか」を形成し、都市の再生を進めていくべきである。
http://www.mlit.go.jp/common/001301655.pdf

 クルマ中心の地方に、まちなかの賑わいを復活させようという試みのようだ。要するに、「人間らしい営みができる環境をいま一度整備し直す」ということだ。

 国交省は市町村による街中のインフラ整備に関し、都市再生整備計画事業の交付金で必要経費の40%を手当てしている。各地で人口減少が進む中、車中心となっている街中を人が集まりやすい魅力的な空間に転換し、都市のにぎわいをさらに創出する必要性があると判断した。
時事ドットコム

 地方では、郊外の宅地開発によって貴重な森林資源や環境が失われて久しい。と同時に、伸びきったライフラインを、いつまで維持できるか判らない。なんせ少子高齢化であるから、その将来像には楽観できる要素がない。

 だったら、いまのうちに空洞化した中心街を再活性化し人を集める方が、コストが掛からない、と判断したと想像ができる。(個人的見解)

 2020年現在、世界の景気動向に不安がよぎるなかで、地方のまちなか再生の最後のチャンスとなるか、今後の動向に注視したいと考えます。

 個人的には、かねてよりクルマをシャットアウトすることが、地方のまちなか再生につながるのではないか、と想像していました。

 気候の変化を感じることができる空間が広がり、そしてクルマが通らない、そのような人が集い、行き交う場所が地方ではものすごい勢いで消失してきました。

 ショッピングモールは合理的で便利ですが、その閉ざされた空間にはなにかが欠けている。それがなにかといえば、人と自然の関係式ではないでしょうか。

 陽が降り注ぐ、陽が陰る、暑い、寒い、風が吹く、雨が降る、という自然との関係式をとりもどす、そこに、まちなか再生の意義があると個人的には考えます。

 ショッピングモールを否定はしませんが、はてさて、どんなもんでしょうか。

参考・画像引用:国交省公式ウェブサイトより

世界のコンパクトシティ: 都市を賢く縮退するしくみと効果

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