■界隈寫眞館|きさらづの界隈をゆく1 みまち通りから歓楽街へ

そこでは時が静かに流れていた

忘却の建物、路地裏も密かに息衝く

 予告していた木更津の界隈写真をようやく公開する運びとなりました。

 11月1日、界隈写真家の村田賢比古氏が木更津を訪れて撮り下ろしたものです。ずーと天気が悪い日が続いて、なかなか絶好の機会が訪れませんでしたが、撮影当日はすっきりとした青空が広がる秋晴れとなりました。

 なお、当日はわずか約4時間ほどの滞在でしたので、本人も満足はしていないようです。また機会があれば、再び訪れたいと言っていました。

 木更津の界隈写真は、ネットにある程度は公開されています。したがって、いまさらと思う方も少なからずいると思います。しかし、例えおなじ情報でも拡散することが重要ではないか、それが翻って木更津の活性化に繋がればと考えます。

 今回、木更津界隈を廻って感じたのは、捨てられたかのように、あるいは忘れられたかのような古い建物や、人の通らない路地裏でも、そこには微かな息遣いが感じられました。そして、そこでは時が静かに流れているようでした。

 当サイトでは、以下のタイトルで3回に分けて公開していきます。また、村田氏が撮れなかった場所は、当方が後日撮ったものをそれぞれ最後に追加いたします。

<界隈寫眞館>
きさらづの界隈をゆく1…みまち通りから歓楽街へ 
きさらづの界隈をゆく2…木更津港から花街跡へ
きさらづの界隈をゆく3…仲片町あたりのレトロ建築を訪れる

なお、更新時期は不定期となります。あしからず。

きさらづの界隈をゆく1 みまち通りから歓楽街へ

みまち通りをゆく

 昔々みまち通りには、賑わいの商店街があった。

 みまち通りといえば、木更津の地元住民には、よく知られた昔々賑わった木更津駅西口にある商店街である。かつては木更津の中心街を代表する商店街だったはずだ。

 しかし、91年バブル崩壊、モータリゼーションの進展、そしてアクアライン開通後のストロー現象化などもあり、賑わいの商店街は一気に廃れてしまった。

 一時期は、商店街のほとんどがシャッター街となっていた。ところが最近では、シャッター街の一部は取り壊されて更地となり、一部は集合住宅が建設中だ。もはや、商店街の体を成していないのは言うまでもない。

 それが、現在のみまち通りの現状である。したがって、もはや見るべきものがない状態である。シャッター街は、ある意味では地方の現状を写す鏡として見るべきものがあった。それは、けっしていい意味ではなかったが…。

 そんな訳で、村田氏が撮った写真もわずかであった。したがって、最後に当方が撮った写真を追加したいと思います。あしからず。


みまち通り/アーチ型のファサード
かつての賑わいの名残か、大層なファサードをくぐって通りに入れば、なんのことはない単なる寂れた裏通りでしかない。もはや、過去の残滓もないに等しい。通りを入ったすぐ近くでは、集合住宅の建築が進んでいた。


みまち通りファサード近くの昭和レトロ
ぽつんと、取り残されたようにある飲食店。右端のスナックの建物は、昭和を感じさせるレトロチックな趣があった。
 

建物の隙間に樹々が息衝く
いかに寂れたとはいえ、そこには生活の匂いが微かにある。樹々の緑も密かに息づいていた。


八幡神社裏にある昭和30年代風モダンな建物 撮影:cragycloud


八幡神社の脇、通りの出口部分
両側にあったシャッター街はすでに取り壊されていた。向かって右側はかなり広い空き地となっていた。まさか、ここに集合住宅を建てることはないか。

歓楽街をゆく

 路地の奥に、また細い路地がある。

 みまち通りを抜けて、鳥居崎通りに入り、そのまま真っ直ぐいくと歓楽街がある。そこには、小粒なスナックやバーなどが多く集まっている。

 まるで往年の日活映画の様な趣がするスナックなどがある。なんだかタイムスリップした気分になってくる、そんな雰囲気に満ちている。

 この歓楽街にやってくる客は、会社員が多いのか、それとも会社経営者や商店主などなのか。その辺りは、いったいどうなのかが気にかかる。

 昼間は、猫も寛ぐまったりとした空気が流れているが、夜ともなればムードが満ちてくるのだろうか、個人的にはそうであって欲しいと願います。


カフェバー、ルフラン前で寛ぐ猫
この猫は、ルフランで飼っているのか。それは知る由もないが、まったく人に動じない。車がきても動こうともせず、当方が退かしてやりました。


観月通り
この通りの先には、かつて観月という旅館があった、いまでは中国資本のホテルに様変わりしている。しかしこの辺りは、昔と変わらずに艶かしい雰囲気が漂っている、ような気がする。


観月通り 入り口の看板サイン
どこまで役に立ってるか不明の看板である。一方、そのデザインの形状が過ぎ去った時代を思い起こさせるのに十分過ぎるものがある。


観月通りを入ってすぐのスナック
入り口のデザインが凝っている。軒の庇は何にインスパイアされたんだろうか。


観月通り(反対方向から)


カフェバー、ルフラン
カフェバーと書かれているが、カラオケもあるようだ。「木更津まち歩き」というマップにも載っている。いわば、歓楽街の名所と言っていいだろう。店舗デザインが形容しがたい趣にあり、とても素晴らしいとしか言いようがない。


ルフランの脇にある路地


歓楽街近く、放置された建物
私は世の光とは、なんぞや。


蔦に絡まれた元スナックらしき建物
近くで見ると壮絶までに異様な雰囲気がある。いつからこのような状態になったのか、なぜ放置されているか、と謎が深まる。しかし、妙な存在感を放っている。右側の建物の入り口辺りに「まこ」と書かれた看板がある。


歓楽街近くの駐車場に残された樹木
「この木なんの木、気になる木」とばかりに、ぽつんと取り残された1本の樹木。思わず、大丈夫かと声をかけたくなる。


矢那川と富士見橋、そして歓楽街


歓楽街近くに流れる矢那川
歓楽街と川はよく似合う、情緒があり叙情性をもたらすに違いない。夜ともなれば、多少なりともムードがあるに違いない、そう思いたいぞ。


奥まった場所にあるバーかスナック


元・酒蔵里さん、貸店舗


セントラルボウル
かつては、ボーリング場や映画館があったビル。外観は昭和30年代モダン、いわゆるフィフティーズの雰囲気が漂っている。現在は、閉館し解体を待つばかりのようだ。


セントラルボウル近く、奥まった場所にあるバー
外観はもろフィフティーズ風、三角形の構成具合が絶妙な雰囲気を見せている。


通り沿いの一角
なぜか、この辺りには蔦が絡まる家が多し。


歓楽街を抜けて、木更津港の入り口にやってきた
交差点の先には、海が広がっている。

日常風景に隠れた、時を記憶した建物と街並み
 木更津駅西口には、寂れた街の風景が広がっている。しかし、その奥に入り込んでみると意外にも、時を経てもなおオーラ(一種独特の雰囲気)を発する建物がある。それは日常風景に隠れて、気が付かれない様にひっそりと佇んでいる。

 もはや燻んでしまって、なんの輝きもない建物だが、ふと立ち止まってよく見てみると、なんだか記憶が蘇ってくるようだ。それは単なる気のせいだが、時を記憶した建物が発するオーラのせいかもしれない。

 それらの建物が集まった街並みを想像すると感慨深いものがある。失われた記憶を現実に蘇らせることはできないが、その記憶を後世に伝えていくことはできる。それが翻って街の活性化に繋がっていくのではないか。

 パリやロンドンを見よ、歴史という時代の記憶が街に人を引き寄せている。木更津にそれと同等を望むべくもないが、少なくとも現存する記憶遺産はある。

 それを生かすも殺すも、そこに住む人たちの手に委ねられている。

次回、「きさらづの界隈をゆく2…木更津港から花街跡へ」につづく

全撮影:村田賢比古(一部を除く)
写真の著作権は、村田氏に帰属します。
村田賢比古の写真サイト:Kai-Wai散策

<追記>
 この撮影当日(11月1日)、岡埜栄泉堂前の駐車場に人だかり(10人ぐらい)があった。何かの見学会の集まりかと思って声をかけてみた。すると、なんとドラマのロケハンの人たちであった。

 なんのドラマか聴き漏らしたが、ロケハンにしては多い人数だった。岡埜の向かい側にある元薬局のレトロな建物を使用するようだ。建物内部の寸法を測っていたので、セットでも組むのかしれない。

 また、ロケハンの人たちは、さかんだな通りを行きつ戻りつしていた。なんのドラマだろうか、少し気になります。

おまけ/みまち通り界隈

あれれ、意外と奥が深いみまち通りだ

 みまち通りから脇道の細い路地に入っていくと、かつての名残りを見せる建物がちらほらとまだ残されていた。

 みまち通りは意外と奥が深かった。すべての路地を入った訳ではないが、まだ何かを発見できそうな気がした。

 とにかく、そこでは時を記憶にした建物が密かに息づいていた。


みまち通り近くの脇道にある舞踊研究所
外壁のデコール模様がたまらなくイカしている、と思うがいかに。


みまち通りの脇道、八幡神社裏にあるレトロな建物


老舗のそばや、きそばふじや
みまち通りを出てすぐにある、年季の入った建物が魅力の蕎麦屋さん。


旧山崎医院
大正9年に建てられたそうだ。きそばふじやのすぐ先にある。なんとなく横溝正史の小説に出てきそうな雰囲気をしている。


棟続きのレトロ風味の建物


見番(木更津会館)
近世、遊里で、芸者の取り次ぎや送迎、玉代(ぎよくだい)の精算などをした所。千葉県内で唯一木更津だけに残っているそうです。木更津の芸者さん(10人ほどらしい)が、踊りの稽古などをしているそうだ。

撮影:cragycloud

参考:「ぶらり木更津まち歩き」マップPDFは以下からダウンロードできます。
木更津市公式ホームページ

人があつまる―浜野安宏ストリート派宣言 界隈・生活地・棲息都市

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