ニュース|鳥居崎海浜公園が再整備される イメージは西海岸風らしいが、いかに

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みなとまち再生にようやく着手する

 木更津市は、みなとまち再生の一環として鳥居崎海浜公園を再整備するそうである。2020年4月に着工し、2021年3月に完成の予定とある。

 ちなみに「木更津みなとまち再生」計画は、「パークベイプロジェクト」というそうだ。鳥居崎海浜公園の再整備は、その第一期ということらしい。

 その内容は、シンボルであるみなとを生かして、賑わいや活力を創出することを目指すとある。具体的には、臨海部の公共用地に、公募によって民間の集客施設(カフェなど)を誘致し、新たな賑わいの空間をつくり出すこと。

 さらには、海と木更津駅を結ぶメインストリートの「富士見通り」の再整備を同時並行して図る取り組みとなっている。

鳥居崎海浜公園再整備へ 「食」テーマに誘客狙う 木更津市
 木更津市は、みなとまち再生の一環として同市富士見の鳥居崎海浜公園を再整備する。新たにレストランなど民間の集客施設を誘致するとともに老朽化した公園を一新し、魅力向上を図る計画だ。4月に着工し、2021年3月完成の予定。総事業費は7億9千万円。

パークベイプロジェクトの概要
 上記したパークベイプロジェクトの概要によれば、今回の鳥居崎海浜公園再整備以外にも以下のようなものが計画されている。

<各エリアの開発コンセプト>
鳥居崎海浜公園=ファインダイニング・マルシェ(本年4月着工)
中の島公園=レジャー/アウトドア・グランピング・潮干狩り
交流厚生用地=文化/ライフスタイルカルチャー・コミュニティ
富士見通り=植栽が多くなるようである(アーケードが取り払われる)
吾妻公園=ウェルネス(健康と運動)/スポーツ・イベントステージ

気取ったワードが並んでいるが、なかでもわかりにくい意味は以下のとおりです。
ファインダイニング=富裕層向けの高級レストラン(富裕層向けではなく、良い素材の料理と言う意味かも)
マルシェ=市場
ファインダイニング・マルシェ=良い素材の料理を提供するお店が集積した場、という意味か
グランピング=glamourous(グラマラス)+camping(キャンピング)
山野に設置された豪華なテントやロッジに宿泊して、ホテル並みの快適なサービスを受けながら、自然との触れ合いを楽しむこと。

私見|みなとまち再生計画の内容について

 まずはじめに、みなとまち再生に向けて再整備するのはとてもいいと思います。なにはともあれ、関係者の努力の賜物と考えます。これから以下に記すのは、あくまで個人的見解であることをご了承ください。

パークベイプロジェクトについて
 当方は開発そのものを否定はしません。なぜならば、現状のままでいいはずはないからです。みなとを生かす手立ては、やはり打つべしと考えます。

 ただし、その開発の方向性がいいのかどうかは個人差がどうしてもあると思います。ちなみに当方などが、何を言ってもなんの影響もありませんが…。

 パークベイプロジェクトの開発コンセプトには、商業や建築のコンサルらしい、過去に使いまわされた考え方が見て取れます。食、文化、レジャー、健康、運動などがすべて網羅されていて、コンサルならこれでどうだというところでしょう。

 しかしこれを見て、はたと感じたことがあります。かつて、これに似たようなコンセプトを見たような、あるいは実体験した記憶があるような気がします。

 場所は定かではありませんが、湾岸エリアのどこか、お台場とか天王洲とか、あるいは芝浦あたりだったかもしれません。

 ということで、この開発コンセプトには、あまり地域特性に基づいた個性が感じられません。あくまで個人的な見解です。

<参考/みなとまち再生事例>
 横浜市では、1983年に全市域を対象に、近代建築、民家、社寺などの建物、道路、橋、石積みなどの土木産業遺構、旧街道などの歴史的遺産に関する調査を行っている。

 1988年には、「歴史を生かしたまちづくり要項」を制定し、歴史的遺産をまちの活性化につなげる試みをしている。

 1994年には、自然と共有する港を目標に「シーブルー事業」を展開、失われかけた港の自然を取り戻す試みをしている。

鳥居崎海浜公園=イメージは、西海岸とか?

 開発概要を見ると開発のイメージは西海岸だそうである。木更津市が、房総半島の西海岸にあるのは間違いないが、西海岸のイメージといえば、やはりカリフォルニア、そしてロサンゼルスをイメージするにちがいない。

 また欧米かー、といいたくなりますが、とにかくそれでいいのかと思うのですがいかに。せっかく再開発するのだから、より深化した内容と安っぽくないイメージの創出を切に願うばかりであるが、もう遅いかー。

 日本で西海岸風イメージというと、安っぽいラブホテルや飲食店のイメージが浮かんでくる。(かつて流行した)または、湘南の海の家とか。とりあえず外壁は板張り風で、白く塗ってあり、入り口には椰子の木があるという具合だ。

 そのイメージは消費し尽くしされていて、新鮮味がまったく感じられない。

 ちなみに個人的には、ロサンゼルスよりアトランタのボードウォークの方がいいなと思っています。(動画配信でアトランタを舞台にした「ボードウォークエンパイア」という海外ドラマをご覧ください)

70年代、80年代の西海岸ブーム
 70年代から80年代にかけて、西海岸が人気となりました。そして、西海岸ブームのなかで、「食のフィッシャーマンズワーフ」や、「海辺のボードウォーク」などが、開発のコンセプトに取り上げられました。

 また、健康と運動のブームも並行してありました。スニーカーやエアロビクスなどが注目されました。そしてマガジンハウスの「雑誌ポパイ」が、若い人たちの西海岸ブームの尖兵となり、流行をつくりだしていました。

 当時は、音楽、ファッション、インテリア、建築など、西海岸風(ようするにロサンゼルスのイメージ)にあらずんば、遅れてるーという感じでした。

 少しばかり極端な言い方であるが、概ねそんな雰囲気でした。

 そんな雰囲気をリアルタイムで体感した当方が、いまその当時を思い出すと、なんとも中身のない安ぽいイメージしか思い出しません。

日本の西海岸イメージは安っぽい
 なぜ安ぽいイメージだったかといえば、表層をなぞっただけ、深みが感じられなかったように思います。開発する側に深い理解が欠けていた、そんな気がします。

 カッコイイとか、オシャレだというイメージだけが先行していたように思います。商業テナントはそれでもいいのでしょう、なにしろ流行が廃れれば、スクラップ&ビルド(退店)すれば事足りるからです。

建物は、簡単に変えられない
 なぜ、このようなことをいうかといえば、行政主導の開発や建造物などの場合はいったん作ってしまえば、簡単に修正や改善ができないないからです。これは、過去の事例でいくらでもあります。

 そして、こまったあげく、民間に売却された事例がたくさんあります。(なお、木更津市がどこまで予算を計上しているか、知りません)

 仮設ならいいですが、恒久的な施設となればより慎重にその方向性を検討していただきたいと考えます。関係者はたぶん慎重に考えたのでしょうが、その結果がなんせ西海岸というのは、いかがなものか。

 繰り返しますが、あくまで個人的な見解であります。

追記:
 個人的には、中の島公園でカピバラを飼ってカピバラ公園にしてほしい。きっと癒されると思いますがいかに。

 とはいえ、上記の開発コンセプトを見る限りでは、市民に開放する、癒しを提供するよりも、商売=お金儲けが優先しているようなので無理ですね。商売が悪いとは思いませんが、なんせ元は市の財産としての公共用地ですから…。

 商売抜きに市民に開放する部分を、もっと多くしてほしいと切に願います。

アイデアは、どのようにつくりだされるか

 あくまで私見ですが、詳細な情報収集とその分析による地域特性を生かした開発コンセプトに基づく、個性あるまちづくりが望まれるのではないかと思います。

 有名な「アイデアのつくり方」の著者ジェームス・W・ヤングによれば、アイデアは、「既存の要素の新しい組み合わせ」であるそうです。

 この場合の既存の要素とは、まず地域の歴史や文化、地場の特性などを考慮すべきことを表しています。(その他、現状と未来予想も含む)

<アイデアの作り出される過程>
1. 資料集め…課題のための資料と、一般的知識を豊富にするための資料
2. あたまとこころのなかでこれらの資料に手を加える
3. 意識の外でなにかが、それぞれ組み合わさるのにまかせる
4. アイデアの誕生
5. アイデアを具体化する方法に着手する

 上記したパークベイプロジェクトの概要をみると、少しばかり不安を感じる次第です。なぜならば、過去にいくらでも繰り返し提案されてきた開発案件とおなじだからです。当方には、新しい組み合わせが感じられない。

 地域には、その地域特有の個性があるはずです。

 その鍵は、「歴史と自然」にあると考えます。これについては、著名な商業・建築プロデューサーも語っています。(例えば、浜野安宏氏など)

 西海岸で集客するなら、サンタモニカ並みに椰子の木を何千本と植えるくらいでないと、中途半端で終わるでしょう。

 80年代、東京の環八沿いにアーリーアメリカンティストのロードサイドレストランが立ち並んでいました。いまはその残滓のかけらもありません。

 オーガニック(きさらづのまちづくり指針)と西海岸はどう結びつくのだろうか、と思わざるをえません。失礼ながら…。ついでにいえば、建物の外壁を白にはしないでほしいと思う次第です。(イメージ画をみるとグレーのようですが)

 繰り返しになりますが、プロジェクトの関係者のみなさまには、ぜひ安っぽくならないイメージの創出と、いわずもがなの中身の充実を図っていただきたいと切に願います。言うまでもなくあともどりはできないのですから。

冒頭写真:引用(千葉日報)
http://www.chibanippo.co.jp/news/local/659217

おまけ/定番白塗りはやめて、こんな風にすればどうか

 個人的な趣向ですが、西海岸=白塗り(イメージ画はグレーか)の外観はいかがなものか。どうせなら、建築足場板を再生した素材などを使用すると、きさらづのオーガニックなまちづくりにもよく似合うと思うがいかに。

 再生素材を使用することは、サスティナブル(持続性ある社会づくり)という概念にも一致するはずだ。


引用:https://kenzai-digest.com/


出典:pictastar.com

もうひとつおまけ/中国のまちづくりを垣間見る

 日本在住の中国人姉妹が紹介する中国のまちの様子です。中国では、過剰な建築ラッシュによるゴーストタウンの増加などが報道されていますが、きちんと地域特性を生かしたまちづくりも行われているようです。

 以下は、南京で人気な下町繁華街「夫子廟」、レトロな中国の雰囲気を味わえるそうです。もうひとつは、西湖&河坊街だそうです。こちらもなかなか魅力的な開発がされています。中国はなかなかに深いというべきか。

アイデアのつくり方

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