■ニュース|アクアライン開通20周年 通行料800円の行方はいかに

開通時にはストロー現象、いまは人口増へ

南房総の浮沈はアクアラインにありか

 東京湾アクアラインは、開通から20年が経ったそうだ。木更津と川崎を横断する高速道として建設されて、川崎側はアクアトンネル(海底トンネル)に、木更津側はアクアブリッジ(橋)となっている。

 1997年12月17日に開通している。道路全体の総延長は15.1 km、総事業費は、約1兆4,409億円といわれている。木更津では、このアクアライン開通により、フェリーは閉鎖された。かつては横浜、そして川崎ともにフェリーで繋がっていた。

 便利にはなったが、その反面で海を船で渡るという情緒性は、失われてしまった。当方の記憶にいまでも残る、日活映画「8月はエロスの匂い」では、主人公は横浜から木更津にフェリーで渡ってきた。

 その頃の木更津港は、いまでは考えられない活気があったと思う。たしかではないが、そのような記憶がある。かつてフェリー乗り場だった場所は、いまではその面影もなく、無残な有様となっている。そして、港には人の姿がとても少ない。

 フェリーが無くなったのは、個人的にはとても残念な気がしてならない。なにか残す手立てはなかったのだろうか。木更津や南房総の玄関口として、来訪者の選択の余地があっても良かったように思うが、やはり経済的な合理性ゆえの廃止だったのだろう。フェリーのない木更津港は、寂れ果ててそのままだ。

 それはさておき、アクアラインであるが、開通当初は普通車で片道4000円もしていた。あまりに高くて、お役人の机上の計算通りには通行量は伸びなかった。(なお、当初のプランでは5050円だったそうだ)

 さらに、木更津(とくに中心街)にその恩恵はまったくなかった。アクアラインを通ってきた車は、木更津中心地を通り過ごしていくのが、定番のルートとなっていた。それをストロー現象というらしい。

ストロー現象
交通網が整備されると、交通基盤の「口」に当たる市町村・地域に経済活動が集中し、「コップ」に当たる市町村・地域の経済活動が逆に衰える現象である。特に長く細い(=1本の)通り道「ストロー」だけで大量の移動が起き、途中の中継地に移動に伴う経済効果が、殆どないのを特徴とする。
アクアライン800円に

 開通からしばらくは、通行量は増えなかった。その後、料金を何度か改定し、ついに2009年に普通車800円にしたことで、飛躍的に通行量が増大していく。

 いまでは、開通時に比べて約3.8倍の通行量となっているそうだ。

 そして木更津は、ようやくその恩恵をアクアライン入り口近く(ストローの口にあたる)の地域に見てとれるようになった。アウトレットパークができて、その周辺にも大型チェーンが進出し始めた。かつては、その辺りには田んぼが広がっていた。いまでは、広い産業道路がどーんと通って昔の面影はどこにもない。

 アクアライン800円の効果は、木更津とアクアライン近くの市町村に影響を与えた。木更津では、料金引き下げ前の2008年と比べて、引き下げ後の2013年では、なんと人口が約5%増えたそうだ。(袖ヶ浦市は約2%増)

 木更津では、その後も少しづつ人口は増えて現在に至っている。

アクアライン通行料金/2014年4月から

 現在、木更津では郊外に新しい居住者が住宅を建て、子供も増えて小学校が新設されている。アクアライン800円の効果がすべてではないが、都心に近くしかも手頃な料金で行けることが、その要因のひとつであるのは間違いない。

 さらには、地価も安く、いまなら住宅購入も現実的である。そんなことから居住者が増えているようだ。

 しかし、一方では若干の不安要素もある。それがアクアライン800円の行方である。現在の料金は、暫定でありかつ実験でもある。本来の通常料金3090円との差額は、国と千葉県が負担している。

 それがいつまで続くか、だれもはっきりとしたことが判らない。

国の方針=「当分のあいだ」
千葉県の方針=「今後も継続していきたい」

 国の言い分は、なんともはっきりとしない。どうせなら、ドイツのアウトバーンみたいに無料化すればいいのに、と思うばかりだが。

 しかし日本には、そんな度量をみせる政治家や役人はいないと思われる。


引用:https://contents.trafficnews.jp/post_image/000/013/300/171215_aqualine_05.jpg

アクアライン効果
アクアラインで千葉県潤う? 開通20年、通行料負担の先で手にした果実とは
 千葉県は、アクアラインの経済効果についても試算しています。それによると、2014年4月から2016年9月までの2年半だけの数値ですが、首都圏全体で1155億円、そのうちの869億円、じつに75%のもの経済効果が千葉県にもたらされているといいます。(千葉県試算)

「当社としては、アクアラインの開通によって東関東道などの交通量へ影響を及ぼしたというより、『千葉県にお出かけになるお客様が純増した』と考えています。アクアラインを通過する高速バスの飛躍的な増加も、それを裏付けているかもしれません。開通とともに4路線、往復121便が設定されましたが、2015年7月時点で23路線、往復476便まで増えており、この交通網の広がりがレジャーだけでなく、房総半島への定住促進にもつながっているようです」(NEXCO東日本関東支社)

人口はわずかに増えても、街の魅力は乏しいまま

 木更津は、料金の檄下げによるアクアライン効果や、安い地価などのおかげで人口が増えている。一見すると他の市町村より順風満帆のようだが、その実態は少し違った様相を見せている。

 なんといっても、木更津の中心街が廃れてそのままというのが、どうにも気にかかる。それはまるで廃るに任せた放置プレイのようだ。

 とくに気にかかるのが、駅前に小売の店舗がコンビニ以外見当たらないことだ。(スパークルシティにダイソーはあるが)小売に関しては、ネット通販と大手チェーン店が郊外にあれば、なんら困ることはないだろう。

 しかし、街の魅力はいったいどこにあるか、それが問題だ。

 街の魅力は、中心街に集積した店舗があり、そして住む場所として郊外がある、そのような二極分化した構造こそ街が魅力を発揮できると、個人的には考える。ネット社会のいまでは、それは古い概念かもしれない。

 しかし、なぜアマゾンがリアル店舗をやるか、アップルもおなじく、それは人が集まる場を創出することに、ある意味を発見しているからだろう。

 人の集まる場のない街ほど魅力のないところはない。いや、郊外には大手チェーン店があるからと考える人もいるだろう、しかし、それはチェーン店の雛形でしかなく、全国どこでもおなじの金太郎飴であり、街が作り出したものではない。

 さらにいえば、郊外が中心街となることは、まずないからだ。当たり前であるが中心街はどんなに廃れても郊外にはなれない。都市でも地方でも、どこでもアイデンティーの核となる部分は必要だ。それが中心街に他ならない。

 中心街が輝きを取り戻して、はじめて木更津は復活するに違いない。

 そんな日がいつか来ると思いたいが、現実を前にすると、それはかなり難しいと言わざるをえない。自然発生的に街中に店舗が集積するのは、もはや奇跡といえるだろう。それを考えるとなんともやるせない気持ちになるばかりだ。

 しかし、それでも個人的には、木更津中心街の再生を願ってやみません。

 なお、あくまで個人的な見解であり、理論的な裏付けはとくにありません。あしからず。

冒頭写真:アクアライン NEXCO東日本
引用:http://www.e-nexco.co.jp/pressroom/image_gallery/library/images/aqua/03.jpg

東京湾をつなぐ―次世代技術を育んだ「アクアライン」プロジェクトの軌跡

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